電源ラインのノイズ対策用に、下図のようなチップタイプのフェライトビーズをプリント基板上によく見かけます。
フェライトビーズの特性は下図のようになっていますが、通常はR特性が重要です。
あまり知られていないことですが、フェライトビーズに直流電流を重畳すると特性が大きく変化します。
以前、DC成分を含まないデジタルデータの伝送ラインに直流電流を重畳する、いわゆる多重化の実験をやっている時に偶然見つけました。たとえば、1000Ω/@100MHzのフェライトビーズに、定格の半分位の電流を流すと、100Ω以下と1/10以下に低下することがわかり、びっくりしたことがあります。
メーカーにとってはあまり都合の良いデータではないのか、メーカーの資料中ではこの現象に関する記述を見つけることはできませんでしたが、TDKのSEATでは下図のように、フェライトビーズの特性の劣化を確認することができます。(赤:0A、青:0.4A、紫:0.8A)
もし、フェライトビーズ挿入の効果が思わしくない場合は、上記の現象を疑ってみてはいかがでしょうか?